百鬼人形芝居どんどろはヒトとヒトガタによる倒錯のエロスを岡本芳一さんが全身全霊を込めて繰り広げる妖艶な美の世界。弥勒とは、釈迦入滅後、56億7千万年後の末法の世に現れ衆生を救うといわれている仏で不思議な笑みを浮かべたその顔は東洋のモナリザと呼ばれ、未だ見ぬ遠い世界を暗示するかの如く謎に包まれた光と闇を漂わせている。弥勒菩薩を女性に投影させて構成したもので、女性のみに与えられた特権である出産という命の継続と肉体の連鎖を持つが故の本能的なしたたかさ、普遍的な人間の内面世界、あるいは幻想的な妖美の世界を描き出している。